「眼は口ほどに物を言っちゃうの巻」
強い馬を探すのか、勝つ馬を探すのか。馬券予想のテーゼである。 それが一致しているならいいが、たとえば、道悪が予想される場合、強い馬が馬場に脚を取られて、弱いと思われた馬が、まんまと逃げ切って勝つのである。
ここ1〜2年で、パドック派に転向したわたしは、トモの踏み込みとか、首の高さとか、馬体のバランスとかを見る目がなくて、そのたびに丹下某に叱責されている。
だから、センスのなさを自覚して、ならば馬の内面を感じることはできないか。
そう考えて、最近はもっぱら、眼を見るようにしている。
「眼は口ほどに物を言う」
というからね。
当たり外れはあるものの、眼に強さを感じた馬を買ってみると、人気を上回る結果が多いことに気づく。
やはり、「勝負掛かりの眼」というのはあると思う。
かつて、神戸で児童殺害事件が起こったとき、犯人の少年の顔写真の公表について論議があった。
ある雑誌は、その中間を取って、犯人の眼に黒線をほどこして掲載した。
眼さえ隠されていれば、特定されないと考えたのだろう。
それを見て、思わず、
「眼だけ出して、他を隠せ!」
と怒鳴った覚えがある。
眼を見れば、相手の心や考えが、少しは読めるのだ。
学生時代、京都の西陣署の裏にある「平安道場」で剣道を習っていたときも、さんざん、
「相手の手元を見るな。眼をしっかり見ておけ」
と教えられた。
手元が動いたときに防御するのでは、もう遅い。
一瞬の眼の動きだけを感じられれば、先にこちらが打ち込めるというわけだ。
それほどに、眼は心を写す。
そういうわけで、馬券も、眼で何とかならぬものかと考えたのである。
はっきりと成果が出たとは断言できないが、人気のない馬でも眼から受けるインスピレーションで買うと、3連複あたりで引っかかってくれるものだ。
馬体からは、その馬の将来性を想像することはできるだろうが、
「バランスのいい馬」
が、そのレースで勝つかどうかまではわからない。
だからこそ。だからこそ、である。
深いブリンカーや、パシュファイヤーは、馬の眼が見にくいから困るんだよな。
かと言って、馬装具を着けないと勝負にならない馬もいるし。
リンダ、困っちゃう!
……カーカーカー。
カラスの眼も間近で見ると、けっこう怖いんだよね。
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