嘶く馬は買うなというが…
土曜日の夕刻、福島駅に降り立つと、駅前は人・人・人の波である。
今宵は福島市政100周年を記念して、福島市内だけでなく、近隣の都市からも100近くの山車が集まり、ワタシが福島に出張するようになった5年近くで、初めて経験する賑わいだったかもしれない。
道路わきの植え込みに腰をおろして煙草を吸っていると、笛太鼓につられて街へ繰り出す競馬関係者の姿もチラホラ。
夏祭りかぁ…。
昼間は30度を越しているだろう、盆地の福島市も、夕暮れ時にになると夜風が心地いい。
テレビの関係者との小さな懇親会とニ次会をいてこまし、翌朝福島競馬場に乗り込んだら、ありゃりゃ。
パドックで、派手にダノンマスターズが嘶いている。
おまけに立派なナニをブラブラさせて、馬っ気もキツいぞ。
思わず、パドックの最前列に乗りこんだら、
「丹下サン。青本買いました」と、POGファンと思しきヤングたち。
ありがとう。
きっと君たちも、ダノンマスターズがデビューするというので、矢も立てもたまらず福島の新馬戦に遠征してきたんでしょうね。
でもね。気性は幼いと聞いていたけど、さすがにここまでは読めなかった…。
ま、ワタシはマスターズ君を指名していないから怪我はしなかったけど、山田乗男の悲鳴やグチが福島の地まで届いてくるようだ。
なんて、土曜日の朝から、シャドウデイルで悲鳴をあげたばかりのワタシですが、ついでにラジオNIKKEIの2着の馬が、どこにも馬券に存在しない。
うう。
もしメインレースで儲かったら、最終のクリノビスケットに、人生をかけて単勝を買おうと(結局2・6倍に数千円だけど)思っていたのになぁ…。
いつものように缶ビールを一本。
裂きイカとビッグコミックを買って新幹線に乗り込んだら、郡山をすぎたあたりで、三人がけの隣の席の二人が、スポーツ紙の競馬欄を広げ、うんうん唸っている。
福島駅を発車して1時間がすぎた頃、
「当たりましたか?」と、声をかけたら(相変わらず気が小さい)、
「何年か前、社台グループの2歳馬ツアーで、丹下サンとバスで隣りになったことがあります」。
社台のツアーには、あれ以来行っていないから、確かあの夫妻の旦那サン?(馬を見に牧場に行ったのは初めてで、時々馬は買っているが、ツアーはあの時が最初で最後とのこと)。
おぼろげながらも、顔が思い浮かぶまでに30分くらいかかってしまったが(申し訳ありません)、もう65歳もすぎて、ノンキに競馬を楽しみ、福島へ愛馬の口取りに出向いた帰りなんですね(2着。残念)。
ポケットのジャラ銭を探り、とりあえずビールで乾杯。
ガッテンウインとゴールドアグリ・チームにも乾杯。
家路の道を、少しだけスキップして帰った先週でした。