「伊藤工真騎手に注目、の巻」
NHKマイルCは、「絶好の芝コンディションで前残り傾向」・「ハイペース」と予想されていた。ダノンシャンティは後方から行く馬だし、ハイペースを経験していないから危険な人気馬ではないか、と。
予想通り、絶好の良馬場で、ハイペースだった。だが、予想に反して、ダノンシャンティは敗れなかった。この馬を本命にした人にとっては、予想とは異なる勝利だったのではないだろうか。
この日は、グリーンチャンネルの「A1ニュースステージ」の仕事で、ゲストは加藤和宏調教師。単なるハイペースでなく、日本レコードが出るほどの超ハイペースになったのが大きいとおっしゃる。5F=56秒3は、レース史上最速。
ダノンシャンティは、このハイペースだから、見た目にはついて行けていないが、決して押っつけて走っているわけではない。馬なりで、自分のペースで走っている。普通なら中団くらいの位置取り。だから、安藤勝己騎手は前半から「展開が味方している」と思っていただろうとのこと。
ちょっと、レースを振り返ってみましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=A770G5JK2Lo&feature=related
この超ハイペースを作ったのは、前4頭。エーシンダックマンが逃げて、2番手グループは、内からコスモセンサー、サンライズプリンス、キングレオポルド。石橋脩騎手が「予定外に外から来られて厳しい展開になった」、横山典弘騎手が「ずっと、外から来られたのが痛かった」とコメントしているように、馬が抑えきれなくなってしまったようだ。
つまり、日本レコードになったのも、ダノンシャンティが勝ったのも、外から掛かるように行ったキングレオポルドが陰の立て役者といっていい。加藤調教師に、横山典弘騎手でも馬を抑えられないのですか? と質問すると、「馬が掛かってからでは、力ではどうしようもない。掛かりそうだなと予測して抑えにかかれるかどうかが、ポイントなんだよ」との答え。なるほど、掛かるか掛からないかの境目の、そのちょっと掛からない側でなだめてあげれば騎手の勝ち。境目を少しでも越えたら、馬が勝つわけだ。
キングレオポルドの伊藤工真騎手は、4月17日にGI騎乗が可能となる31勝目をあげたばかりで、今回が初GI。しかも、テン乗り。何しろ、逆説的にレースを作ったわけだし、後ろからトコトコ行って負けたのとは違うから、これは大きな経験になったと思う。きっと何かをつかめたはずだ。しばらくは、伊藤工真騎手に注目してみたくなった。
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