【丹下厩舎・調教主任】 by・藤原有貴
先週は、新人ジョッキーが中京、中山でデビュー。
サプライズは唐突にやってきました。
3月3日、土曜日の中京1R。
藤岡佑Jの弟、藤岡康太Jが何と初騎乗、初勝利を記録。
勝ったのは父、藤岡健調教師が管理するヤマニンプロローグ。
レースの模様は、日曜日版の新聞を制作しつつ、グリーンチャンネルで観戦していたんですが、
何ともデビューに相応しい名の馬を駆っての鮮やかな勝ちっぷりに思わず興奮してしまいました。
さて、この日の中京競馬場、多数の新人に混じって一人の騎手がターフに帰ってきました。
それは栗東、谷厩舎所属の中村将之騎手。
中村騎手は平成17年にデビュー。
同期には鮫島良太、塚田祥雄などがいる競馬学校21期生。
初年度こそ僅か2勝に終わるも、2年目となった昨年は、思い切りの良さを武器に、差し馬を中心に勝ち星を量産。
昨年の10月29日終了時点では、29勝をあげて関西リーディング19位(全国31位)。
連対率も.138と高く、馬券でも何度もお世話になりました。
また、ちょうど、彼がデビューした頃は自分が会社に入ってすぐであった事から、何となく同期のような感じがして、好きになっていったジョッキーでした。
しかし、昨年10月28日の福島競馬。
この日、メインレースをテンシノコンコルドで制した中村騎手、
最終レースの騎乗馬セイシュンジダイも4番人気と支持を集めていました。
レースは抜群の手応えで中団を追走し、むかえた直線。
中村騎手はセイシュンジダイを前を走る2頭の間に入れて馬群を割る戦法を選択。
ですが、2頭の間に進路は開かず、行き場をなくしたセイシュンジダイはバランスを崩し、躓いて、前のめりに転倒。
中村騎手も落馬し、激しく地面に叩き付けられてしまいました。
その後、セイシュンジダイは予後不良となり、また中村騎手も胸椎圧迫骨折と全身打撲から長期の休養を余儀なくされてしまったのです。
入院直後、中村騎手は自身のブログで
“自分は競馬に携わる者として最低の行為をしてしまった。”
と深い自責の念を包み隠さずにファンに向けても吐露していました。
加えて、ジョッキーとして、実戦に乗れない悔しさ、苦しさ、活躍する同期の姿などに察するにあまりある焦りも感じていたはずで、そういう気持ちもまた、強く漂うものでした。
しかし、谷調教師をはじめ、厩舎スタッフ、そして先輩ジョッキーからの言葉に励まされたエピソード。
さらにはリハビリを終え、調教に跨るなど、復帰への手応えを掴み始めると、少しずつ前向きな言葉が綴られるようになり、
そして、それは中京競馬での復帰が決まると、
“僕にはセイシュンジダイがついているので、良い結果を出せるように頑張ります。”
と、一段と逞しくなった彼を感じさせる力強い言葉へと変わっていきました。
そんな流れを追っていくうち、読んでいるこちらも嬉しくなり、また人の心の強さに胸打たれるわけなんであります。
そして無事、復帰を果たした先週は、10鞍に騎乗して、4着、5着が一度ずつ。
勝ち星こそあげる事は出来ませんでしたが、硬さもなく、滑り出しとしては上々。
そんな中村騎手の今週注目の騎乗予定馬は
土曜、中京12R伊良湖特別のバンブーライカルト(谷厩舎)。
初騎乗となりますが、中京ダ1700Mは過去、〔1120〕と大得意のコース。
そう簡単な事ではありませんが、自厩舎ですし、是非良い結果を残して欲しいもんです。
今週、阪神では桜花賞トライアル、フィリーズレビュー、中京では電撃のスプリント戦、ファルコンSが行われます。
それでは出走予定馬の追い切りの動きをチェックしていきましょう。
(さらに…)
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03.08.2007