丹下倶楽部

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軽くなった

 「ジョロボワに、ニアフォールされたい」

 このメールを最後に、Kクンのオリンピックが終わった。

 庭のゴーヤ、無駄に数多く実る。6月のころは、色だけは赤いが、口にすると硬かったイタリアントマトも完熟だ。

 駄犬のシーツを洗っていると、やぶ蚊の猛攻。口の中まで入ってこようとする、あの獰猛さはなんだ。

 なんだか、2年ぶりくらいに、身体が軽い。

 ここ数年、武蔵小金井の駅までの坂で、道中一度息を整えないと、アゴが上がっていたが、あれれ。何故かノンストップで歩けるようになった。

 肩の付け根あたりに埋め込んであった、「ポート」という、点滴用のカテーテルの装置を取り外したぶん、気分が楽になったからだろうか。

 柏木集保サンに、
 「キーちゃんの身体は、サイボーグみたいなもんで、ボルトや管やボタンがいっぱいある」と、笑われたことがあったが、これで一つ人間らしくなった。

 その除去手術は、部分麻酔。

 ドクターたちが、
 「もっと上のほうを、観音開きにメスで切って」
 「そこそこ。もうちょっと引っ張っぱらないと」
 「あ。そこじゃない、こっちこっち」とか。

 聞いてるほうは、けっこうハラハラ(失敗すんなよ)。

 ペンチみたいなものでギューギューやられ、神経に触れたりすると、ビクビクビクと体が、勝手に反応するんですね。

 リキんだぶん、おならがしたくなり、
 「放屁していいか。ワタシのは相当くさいです」と、看護婦さんに言ったら、
 「私たちは、もっと酷い匂の中で、しょっちゅう手術しています。大丈夫」だって。

 なんて、人間を焼く匂は、独特なんだよね。

 電気メスが皮膚を切り裂く、焼け焦げた匂いが、4~5日鼻から消えなかった。

 戦争を体験している人たちは、たぶん、あの皮膚が焦げる匂いを知っているのでしょうが、そういう匂いと縁がないよう、平和でありますように。

 明日は追い切りだ。

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