逢い引き
馬が勝てば、「よかったね」という。
知り合いの馬が、重賞――GⅠを勝つなんて事態になれば、いやいや、ホントによかった。
血統馬、人気馬……勝てばみんな、目出たいけれど、同じ「よかったね」という台詞でも、その馬の若駒時代の育成や、育成に携わる人たちの風景を見知っていれば、「よかったね」に込められた意味や、奥深さが、ぐっと違ってくる。
今年のPOG本で、鈴木淑子さんをパートナーに誘ったのは、淑子さん自身も、現地に行って、エアグルーヴやエアトゥーレの仔を、文字通り手で触って知ってもらえば、今までとはまた違った、競馬の風景が見えるのではないか。
例えばエアグルーヴの仔を引き合いに出したが、ゴレラの10、アコースティクスの10なんて、馬を前にすると、実の娘と同じかそれ以上に、思わず飛びついて抱きしめたくなる、そんなピッカピカの肌艶をしているだよね。
馬って、それほど凄い生き物だと思う。
なんて、実は去年のPOG本で、淑子さんと同じようなことをやろうとしていたんだけど。
ところが、「さあ、明日から北海道へ取材」という日に、あの大地震。
武蔵野の田舎にあるワタシの家は、停電くらいで済んだが、都心の高層マンションの淑子さんちは、グラグラ揺れて、もう大変。
結局、一年延ばしで、本年の“POGの王道”となったワケですが、弟子の丹下デルオによると、「出そろった、よそのPOG本より、馬の選定が精査してある」らしい(ほんとうか)。
まあ、「見た」「聞いた」というだけの、ワイドショー的話から、進歩しないといけないからね。
気の長い話だが、一年経って、なるほど、丹下と淑子さんは、こういうことを見ていたのかと、思っていただければ幸いです。
一週間の仕事を終えた金曜日の午後は、何故かハイになる。
OrnellaⅤanoniの、LApputamento(逢い引き)を、聞いています。
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