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「競馬カネ問答の巻」

 「お金がないということが生きることの原動力になっている人と、それが無気力を呼び込んでしまっている人と、ふた通りありましたね」

 『赤目四十八瀧心中未遂』を読んでからハマッてしまった車谷長吉さんの『反時代的毒虫』(平凡社新書)は、対談集である。

 その「文学カネ問答」の章に、この一文があった。

 ドキッしましたよ、わたしはどちらの人間なのか、と。

 「(無気力組のほう)つまり金がないということの行き着く先は、浮浪者というかホームレスという形になっていくと思いますね。

 比喩的な意味では、この世での居場所を失うということです。

 じゃあ気力がある人はどうなるかと言ったら、ドストエフスキー『罪と罰』みたいに人を殺すんです。

 ラスコーリニコフみたいに人を殺すとか強盗に入るとか」

 と、具体的に述べている。

 そう言われると、どちらにしても、そんな勇気はない。

 で、対談相手の奥本大三郎さんが、「気力はあるが、判断力がないんじゃない」と突っ込むと、

 「判断力のある人は、だいたい水商売に行くんです。

 なぜ水商売に行くかといったら、この日本社会では保証人になってくれる人がない限り、水商売以外では、暮らしていけないからです」

 

 まずい、当たってるよ。

 わたしのようなフリーライターなんて、自分でそう決めて、名刺にそう刷り込めさえすればいい。

 保証人は必要ないし、いつ仕事がくるのかも分からぬ水モノ商売である。

 いざとなったら、丹下に食わしてもらうしかないのだ、今のところ。

 矮小化して、競馬場における「金なし人間」を分析すると、無気力組はオケラになった途端、「もう駄目だ」なんて嘆きながら帰るだけ。

 気力のある人は、友人に借金をしてでも、もうひと勝負打つのだろう。

 でも、わたしのように、帰るのも悔しいし、借金をする勇気もない人間は、どうなってしまうのだろう。

 競馬ファンの7割くらいは、こんな優柔不断人間なんじゃないかな。

 競馬版の「水商売」といったら、やはり、「地見屋」ということになるのか。

 ひたすら競馬場の地面を見続け、当たり馬券を探す。

 あるいは、「泣き売(ばい)」でもするしかないのか。

 「親父が経営する鉛筆工場が火事で焼けてしまいました。助けるために小遣いで競馬をしましたが、負けてしまいました。これは、親父が作った赤鉛筆です。1本でも買っていただけませんか」。

 そのために常時、赤鉛筆を3本は持っている。

 1本100円で売れば、帰りの電車賃くらいになるからね。

 そういえば、最近の丹下、地面ばかり見ているような気がしますが。

 

 カーカーカー。

 お前らも、ゴミ箱ばかり漁っているんじゃないよ。

 

 

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