「短期放牧の巻」
先日、3頭の牡馬が温泉施設の整っている牧場に短期放牧に出された。
中2日という短い期間だが、これまでの疲れを取るための措置であった。
初日の午後3時過ぎに到着し、すぐに温泉に入ることになった。
資料によると、泉質は「アルカリ性単純温泉」、「疲労回復、筋肉痛、関節痛」に効能があることはもちろんである。
ストレスで鋭くなっていた眼が、とろ〜んとしてきたことからも、肉体的にも精神的にも弛緩していることが看てとれた。
それ以降は、さしたるスケジュールもなく、各馬それぞれに思いのまま行動をとった。
本来ならば、それぞれがそれぞれ個別の行動をとることが予想されたが、肉体的にも精神的にも緩んでしまった後は、どの馬もまったく同じように怠けるようになった。
温泉といえば、テレビ朝日系で放送している『秘湯ロマン』のファンです。
短い番組ですが、芸人による温泉紹介番組より、よほど「行きたくなる気持ち」にさせます。
ここで、その番組テーマソング『静かな戦士』(円広志)を、お聴きいただきましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=jPpgjAQpNwQ
閑話休題。
怠ける生活とは、すなわち、起床してすぐに温泉をせがみ、温泉を出ると飼い葉をせがみ、飼い葉を食べ終えるとふらふら歩き回り、歩きを終えるとゴロンとなって砂遊びをしたり、本当に睡眠に入ることもあった。
そして、夕方の飼い葉で満腹感を得ると、再び温泉に向かう馬もいれば、そのまま眠る馬もいれば、深夜に飼い葉を食べる馬もいる。
ハッキリ言って、「だらけた」日々を送るわけだ。
放牧を終え、再び、現実の世界に戻ってくる。
彼らはきっと、こう思っているだろう。
「もう戻りたくない」、「ここで一生暮らしたい」、「何もヤル気が起こらない」……。
ということで、1月9〜11日にかけて、鬼怒川温泉に行ってきた、野郎3人で。
風呂・メシ・睡眠の繰り返し。
同じ部屋だが、語り合うことはなし。
テレビは点けっぱなし。酒は飲みっぱなし。
怠惰とは、こんなにも幸せだったのか。
打倒勤勉、怠惰万歳!
15年ほど前、出版社勤めからフリーライターに転身した記念に、麻雀に誘われて6万円負けた。
不安な身の上なのに、しっかり支払われされた。
今回も、年明けから仕事が減った記念に、温泉旅行に誘ってくれたのだ。
不安な身の上なのに、自腹を強制されて。
みんな、いい友達です……。