「元ジョッキーは現アイデアマンの巻」
GIレースの日の夜10時から、グリーンチャンネルで放送されている「A1ニュースステージ」なる番組をご存知だろうか。
その日のGIレースを、坂井千明さん、根本康弘調教師、谷中公一調教助手といった、ジョッキー経験のある方々が分析する番組である。
ときには、大西直宏騎手、藤田伸二騎手といった現役も出演して、騎手心理・騎乗技術・戦略……をVTR解説してくれるから、競馬の見方も変わってくるというものだ。
「何で、あんなところで仕掛けるのかよ」、
「あそこで外に出したって、届かないに決まっているじゃないか」
と、負けては愚痴るオケラ達(わたしを含む)に、なぜ仕掛けなければならなかったか、なぜ外に出さなければならなかったか、をプロの目で教えてくれる。
キャスターは、津島亜由子さん。
NHK総合「日本の顔」やTBS「サンデーモーニング」でも活躍の元気っ娘である。
桜花賞の日は、わたしが台本の手伝いをした。
ゲストは、谷中公一調教助手。
昨年の朝日杯FSに次いで、一緒に仕事をするのは2度目である。
いつも驚くのは、そのアイデアマンぶりだ。
打ち合わせのときには、このVTRはスローにした方が視聴者によく伝わる、ここで一発笑いをとっておこうか、ぼくがこう振るから津島さんはこう受けてね、この解説は前回の千明さんと同じになってしまうから違ったことを考えよう……、
「お前はスタッフか!」
と突っ込みを入れたくなるほど、次々にアイデアを出してくるのだ。
そのひとつひとつが、なるほどと思わせるものばかりだから、数時間後の本番に向けて全員の士気が高まってくるのである。
調教助手という本職を持ちながらも、
あるときは漫画家、
あるときはコラムニスト(「競馬王」、「日刊スポーツ」に連載)
などと、八面六臂の活躍をするマルチな才能が花開いて、本当に充実している雰囲気が伝わってくる。
ときおり、 「オレの現役時代はいつも崖っぷちジョッキーだったからなァ」
と、自らを卑下して笑わせるのも、「現在」に自信を持っている表れではないだろうか。
その日の打ち上げで、近いうちに谷中邸をリニューアルするとの話題になった。
「オレとしてはね、お菓子の家にしたいんだよね。日本間の壁は、生クリームで白壁にして、家中のドアはすべてクッキーにするってのは、どう?」
?、?、?。どうやら、常人離れした才能も少なからずあるようだ。
……カーカーカー。
カラスが鳴くから、皐月賞の日の放送も、ぜひ見てください。
- « イヤ〜な予感。
- 《丹下の懺悔トップ》
- てるてる坊主 »