2021〜22年の指名馬30頭を振り返る「丹下のザンゲ」(1〜10位編)
P太郎 昨年丹下師匠が推奨した30頭の成績を振り返る、毎年恒例「丹下のザンゲ」。今年も3回に分けて掲載します。よろしくお願いします。
丹下 皐月賞のドウデュース、惜しかったね〜。
P太郎 姉のフラーレンの一口を持っていたので、熱烈に応援していたのですが残念でした。今年は久しぶりに丹下師匠と直接会って振り返るので、楽しみにしています。
丹下 去年はリモートだったよね。まあ、リモートでも対面でも懺悔することには変わりないか(笑)。
P太郎 昨年はフローラステークス終了時点の収録で21勝でした。今年は1週間早い皐月賞終了時の収録ですが、これまで20勝を挙げています。
丹下 ホント!? もっとダメかと思っていた(笑)。でもよく見たら1勝馬ばかりなんだよなぁ。
P太郎 あ、でも、指名馬の勝ち上がり率はすごいんですよ。
丹下 そこ、気を遣わなくてもいいから(笑)。勝ってはいるけどポイントを稼いでいなくて…。個人でやっているPOGもこの成績通りになってしまっています。
P太郎 自分も今年は勝てていないですね。難しいというか不思議な1年でした。
丹下 今年は誰が勝っているんだろう。世の中の勝っている人に会ってみたいもんです(笑)。
P太郎 振り返る前から、もうすでに後ろ向きな感じもしますが(笑)、今年のメンバーにも重賞ウイナーやトライアルに進む馬もいますので、1頭ずつ見ていきましょう。
P太郎 まず、1位はディーンズリスターでした。
丹下 風の噂で「もしかしたら遅いかも」――という声が聞こえてきたんだけどね。「風の噂を信じて〜今日からは〜♫」なんていう歌もあるようですが、いや噂なんか恐れるんじゃない。あえて矢作厩舎とノーザンファームを信頼したんですが、噂はホントだったんだ(笑)。今年の2歳馬も去年ほどではないけど風の噂があるらしいよ。噂を信じた方がいいのか、「噂を信じちゃいけないよ」なのか。どっちなんだろうね。
P太郎 続いて2位もディープ産駒、コリエンテスでした。こちらは1勝しました。
丹下 POGの本やシルクのカタログを見ていると、見る時によって腰が尖っている気がしたんですが、堀調教師だからうまく矯正するだろうと思っていました。見るたびに印象が違う馬でしたね。母のイスパニダがアルゼンチンの1000ギニーを勝って、オークスも2着だろ? つい気取って先物買いしちゃいました。
P太郎 3位は重賞ウイナー、コマンドラインでした。
丹下 去年の6月のデビュー勝ちの後、社台の会報に「ダービーが楽しみです」と書いたら会員さんから「丹下さん、心強い原稿を書いていただきありがとうございます」と言われました。期待に沿ってほしかったなぁ…。
P太郎 デビュー戦とサウジアラビアロイヤルCの連勝劇は皆さんも印象に残っていると思います。その後の2戦についてお聞きしたいのですが。
丹下 微妙に脚元の状態とか気になるところがあったのかも。この血統の難しさもあると思います。2歳に妹がいますが、もしかしたら牝馬に出た方が良いのかもしれない。
P太郎 このあたりは来年の30頭にもぜひ注目していただければと思います。4位はリアド。高額馬として注目を集めました。
丹下 4位で良かったのか、悪かったのか。この血統はセレクトセールでいっぱい見てきていますが、値段云々じゃなくて兄弟の中でも最高だと思いました。少し小さくて、2歳の4月で420〜430キロぐらいでしたが、デビューの時には460キロぐらいまで増えたので、陣営は丁寧に仕上げたんだと思います。京都新聞杯に出るなら勝ってほしいね(笑)。
P太郎 5位も友道厩舎のディープ産駒、アーティットでした。こちらも1勝。
丹下 ここ3年ぐらい、この基礎牝系の信者になっちゃって(笑)。社台のツアーでこの一族は何度か見てきていますが、普通にいい馬が多かった。この馬は微妙に腰が高いからまだ子どもかな。菊花賞で掲示板に載るような走りを期待しております。
P太郎 6位はエピファニー。ディープ産駒以外では最も高い評価でした。
丹下 母のルールブリタニアはミッキークイーンの妹で、脚を痛めて早めに引退しちゃったけど、息子まで脚元が弱くなるとは。血統って弱点も遺伝するのかな? プリンシパルSに出てくるなら、もう1勝お願いしたいもんです。
P太郎 7位からはハーツクライ産駒が4頭続きます。まずはアルファヒディ。昨年のダービー馬シャフリヤールの弟でした。
丹下 ドバイマジェスティの産駒は安定しているのですが、思わぬところで躓いてしまいましたね。
P太郎 父がハーツに変わったことの影響は?
丹下 ディープでも難しい血統だったけどね。ハーツのほうが脆さはあるよね。やっぱりどこかに怖さがあります。
P太郎 8位はレディナビゲーター。丹下師匠がBSイレブンに出演し推奨した翌日に初勝利を挙げました。
丹下 着差はわずかでしたが、どや!という快勝でした。ほっとしましたよ。最初2着した時は、次こそは勝つと思っていたけど、勝てないレースが続いていたからね。この血統は姉のアドマイヤミヤビからとても好きですが、なかなかうまくいかないことが多くて。この馬も2歳時はポリトラックの調教が多かったけど、こないだは坂路でいい時計を出していたので、勝てると思いました。
P太郎 9位はレシステンシアの下、スパイダーバローズでした。
丹下 レシステンシアに惚れすぎて、この血統に対する思い込みが強すぎちゃったのがいけないかもしれない(笑)。この馬はセレクトでも高評価で、レシステンシア以上の馬がどんどん出てくるかと思っていたけど、レシステンシアがマックスだったらどうしよう。まあ、この馬もいずれ走ってくると思います。
P太郎 10位はサラビでした。
丹下 ザズーの仔って全部が全部走っているわけじゃないから難しいよね。POG的には子どもが満遍なく走っているほうがいいよね。
P太郎 1位から10位まで振り返りました。
丹下 一昔前はホームランを打てるような良血の方がいいような風潮があったけど、今は安定していて堅実な血統の方がいいのかもしれないね。2歳世代はその点も踏まえていきたいです。