振り返れば有馬記念というレースは、2分29秒5のレコードもあれば、たとえば昨年は、2分32秒6の時計決着。走破タイムに、軽く3〜4秒差のある、難解な一戦。ほんの2Fの上がり勝負という、低レベルの有馬記念だってある。
しかし、外国人参戦の有馬は、どこかで必ずレースが動く。昨年のヴィクトワールピサの有馬の、11秒5—12秒0—11秒7—11秒1—11秒8という、残り1000mからゴールまでのレースラップが、その象徴だろう。
そこに求められるのは、1F11秒を切る、絶対能力としての瞬発力。そして、11秒台を最低4連続の持久力。小回り2500m云々に目をとらわれがちだが、やはり有馬には、競馬の本質が凝縮している。
なんて、オルフェーヴルは、秋二戦で、その両方を誇示。秋緒戦の神戸新聞杯は、スローの上がり勝負とはいえ、ラスト3Fのレースラップは11秒2—10秒6—11秒8(3Fは33秒6)。対する自身の上がりは32秒8。
前年の神戸新聞杯も、似たようなスローだったが、ローズキングダムの上がりは33秒3。ローズやエイシンフラッシュたち4歳世代のトップランクを、この時点で楽々と凌駕している。
続く菊花賞は、レコード0秒1と迫る、3分2秒8。前半1000mの入りは、菊とすれば平均ペースの60秒6ながら、1000〜2000mにかけての通過ラップは62秒1(通常の菊は、ここで64秒前後にガクンとスローダウンする)。2000〜3000mにかけては60秒2。
このタフな平均ラップの上に立ち、しかも上がり3Fのレースラップは、11秒5—11秒6—12秒0。最後の1Fは明らかに手綱を抑えていたが、普通に追っていれば、ソングオブウインドの記録を軽く塗り替えていたか。
秋二戦の瞬発力と持久力は、競馬史上トップランクのHレベル。古馬圧倒の下地はすでに整った。
スタンド前を、中団内で折り合って通過できれば、オルフェーヴルの楽勝まである。
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