大阪があるさ
「“東京でだめなら”は、渥美清もカバーしていますよ。丹下サンの場合、あっちでフラれ。こっちで、ひとり合点のお目出度い顚末だったり。どっちかというと、トラさんでしょ」
ガジロー頭改め、最近、ムード歌謡にハマり、髪をアイパーで固めた栗岩太郎クンは言うけれど。
そういえば、ホースニュース馬に入社した30年前。
「丹下クンは、やっぱトラちゃんだな」
「うん。僕もそう思う」
御大・井崎シューゴローや上司が、ひそひそトラちゃん扱いするのを耳にしたことがあるが、今思えば、あれは褒め言葉だったのか!(当時は憤慨したけれど)。
悪徳馬主。明石特別に愛馬が出るため、阪神へ。
勝っても負けても、トラちゃんみたいに、新幹線でハシャがないように。
中山牝馬Sには、水戸在住の、いとこの友人の持ち馬である、ブロードストリートが出走。
東北地区ほどではないにしろ、水戸も電車が復興したのは、つい二日前。市内は、あちこち歪んでいた。
何かいいことはないもんか。
千葉在住の近しい人から貰ったぴーなっつ落花生をかじりながら、アレコレ思う今日である。
ちなみにピーナッツは、マリリンモンローみたいに、キチンと二つにくびれたヤツが優れモノなのかと思っていたが、あれは完熟しすぎて、中身が乾燥しているんですね。
親フグや子フグ2号の体型のように、ズンドウっぽく見えるほうが、粒がぷっくりしていて、ねっとりとした味わいがあるもんなんだなぁ。
街を歩いていると、交差点の信号待ちで、推定70歳と思しき、あき竹城さんっぽい女の人に、ワタシの顔を、仰天したようにマジマジと見つめられる。
「どっかで見た顔だと思ったら、BS11の競馬中継の人ですよね」
そう、あの当たらない予想家です。
「丹下さんの予想は、どこで見たらいいんですか?」
毎日新聞・関東版で、金・土の夕刊で、以下のような原稿を書いています。
【大阪杯】
ダノンシャンティは、昨年5月のNHKマイルCで、翌週のヴィクトリアマイルCを1秒、春のマイル王決定戦・安田記念を0秒3も上回る、衝撃のレコードで完勝。あの1分31秒4は鮮烈だった。
ダービーは取り消し。復帰緒戦の有馬記念は、本調子手前の見切り発車。前回の京都記念も、行き脚がついたかと思えば脚を突っ張り、リズムを崩しながらの苦しい競馬だったが、4着には入線。能力の片鱗と復調気配は示してみせた。
この中間は、タフなコース追いも消化して体調も上向き。昨春の覇気が蘇ってきた。マイルを起点とした中距離戦線では、たとえヴィクトワールピサ相手でも一歩も引かない、4歳世代きっての実力派マイラーの力量を、再確認する大阪杯だ。
ヒルノダムールに付け入る隙があるとすれば、斤量57㌔という2㌔のアドバンテージ。2000m仕様にと、坂路調教で瞬発力強化に努めてきた。
ドリームジャーニーは、宝塚記念・有馬記念2勝のグランプリホース。能力と実績は抜けている。ただ、58㌔は好材料とはいえ、まだコース追いができない。地元関西の競馬なら、前走のような大崩れはないだろうが、今回は三番手に止めた。
リディルは、強敵古馬相手に我慢を覚えた、同じ4歳世代のダノンと比べると、まだ超一線級と手合わせしていない。ダービー馬エイシンフラッシュの巻き返し、キャプテントゥーレの先行力とあわせ、まだ連下までの評価。
(※毎日新聞夕刊・4月2日。入稿時の原文まま)
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