「暗号馬券は存在するのかの巻」
七夕賞とプロキオンSは、同じ2枠4番に入った、同じ馬主のメイショウカイドウとメイショウバトラーが勝ったのである。
銀座WINSで七夕賞のパドックを凝視していたら、横にいたドロドロ系オヤジが、
「お、京都も4番にメイショウが入ってるよ。これ、暗号じゃないのか」
と呟くから、大手門攻めで馬券を買う私としては、そんなことあるわけないじゃないかと、心の中で呟き返してやったのだが、ちょっとは気になっていた。
先週、私の発信するメールが先方で文字化けして、まったく読めないというトラブルが発生した。
(Æ我‰美æ‘å人¤ªè”µ大‰æ‘夯ªè”好µ・・・・)
その友人は文字化けしたそれを解読して、ほとんど完璧に内容を読んでしまったのである。
返事には、
「下手なクイズより、暗号解読の方がおもろい、おもろい」
などとぬかしてきた。
そんなこともあり、数日間は「暗号」に囚われていたのである。
建て直す前の東京競馬場の三階で毎週たむろしていた頃、テレビの下のベンチに、やはり毎週座っていたオジサンがいた。
彼は、乱数表のような記号だらけのノートを見ては馬券を買っていたから、いったい何者なのだろうと思っていたら、何と「陸軍中野学校」の出身というではないか。
暗号解読のエキスパートだったのである。
競馬に暗号はあるのだと、当時は初心者だった私は妙に納得してしまった。
それよりさらに以前、浪人中に通っていた代々木ゼミナールで、国語の有坂誠人先生が、
「答えが分からなかったら、『ウ』に○をつけておきなさい」
なんて教えてくれたし、受験国語なんてのは、文章を味わうことなんかせず、読解法を身につけた者が高得点をとっていた。
まるで暗号を読み解くゲームをしているようで新鮮な授業だった。

その有坂先生の門下生が、今や代ゼミの人気講師である吉野啓介先生。
元暴走族だったことで有名になり、最近も、小泉チルドレンの杉村太蔵議員が、吉野先生の著作を盗作したことで新聞を賑わせた。

この師弟はともに競馬好きで、それを知った私は、取材をさせてもらったことがある。
有坂先生は、
「受験関係の取材を受けるのはうんざりなんだよ。
最高だよね、趣味の競馬で取材を受けるなんて」とおっしゃった。
先生は、特に長距離戦が好きなのだそうだ。
「あっという間に終わらないから、ゆっくり競馬を楽しめるじゃないか」
という理由で。
とても、暗号で馬券を買っているようには見えなかった。
今回の、七夕賞とプロキオンSは、きっと外れたことだろう。
カーカーカー。
お前たちは、やっぱり黒色の枠を買っていたのかい?
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