丹下倶楽部

丹下日出夫が監修するPOG(ペーパーオーナーゲーム)最強情報サイト

facebook RSS2.0

「コメント万歳の巻」

 6月13日(火)の新聞を5紙も並べて、祖母がつぶやいたのだ。

 「見出しに『日本が負けた』とか『ニッポン惨敗』だとか書いてあるけど、本当かねぇ。戦争中なんて、毎日毎日、日本が勝った、日本の快進撃、なんて書かれていたけど、全部ウソだったのにねぇ。結局、負けてしまったじゃないか。大本営発表なんて、眉唾だよ」

 いや、おばあちゃん、もうそんな時代じゃないんだよ。

 オーストラリアに負けたんだよ。

  「そうかい? じゃあ、もう、東京オリンピックは面白くなくなったね」

 ボケているのである。

 もう90を超す年齢だから、今がどの時代なのかがわかっていない。

 わたしのことを、当時、隣に住んでいた「ヒデスケさん」なんて呼ぶのだ。

 だが、新聞情報に対する態度は、この一言で理解できるであろう。

 大本営発表によって翻弄されたことが、身にしみこんでいるようだ。

 だから、自分の目で確かめたことしか信じていない。

 銃後を守り抜いてきた女性のしたたかさだろう。

 



 「情報信ずべし、然もまた信ずべからず

 とは、菊池寛先生の金言である。

 われわれ競馬モノも、どれだけ情報に惑わされてきたのか。

 しかも、惑わす情報というのは、馬券を買う直前に、まるでそよ風のように耳元をくすぐるのだ。

 あっちで、

 「どうも3番の馬、フケだそうだよ」 とか、

 「1番人気の馬は、今回は叩き台だそうだ」 とか、

 「やべぇ、6番の馬に丹下が◎打ってるよ」 とか。

 それらが一瞬にして頭を支配し、当初のマークカードを破って、書き換えてしまう。

 結果は言わずもがな、である。

 じゃあ、情報を全く信じないのか。

 それとも、確かな情報を入手する術でもあるのか。

 むかしむかし、「週刊ギャロップ」で連載していたころ、あるトラックマンが、情報の選別法を教えてくれた。

 当たり前といえば当たり前のことだけど、

 「コメント発表者しか分からないような情報は信じられるヨ」 と。

 つまり、騎手ならレース中での出来事だし、厩務員なら担当馬の性格や状態だし、調教師なら戦略に関することだし、……という具合である。

 たとえば、前走の敗因コメントで、厩務員による「道悪が響いたね」よりも、そこは実際に乗っている騎手の「気難しい馬で左に寄れてしまった」の方を信じるというわけである。

 そうすれば、次走、良馬場で狙うよりも、右回りコースに替わったときに狙った方が的中確率が高いのである。

 これさえも本当かな、と思うが、本当らしく聞こえる。

 情報なんて、そんなもんだね。

 

 カーカーカー。

 お前たちは情報に翻弄されなくて幸せだな。

 

 

    現在の人気ランキング順位はこちらです。  

丹下の30頭データダウンロード

最近の『丹下の懺悔』の記事

この記事に関連する記事

丹下の30頭データダウンロード