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「暗号馬券は存在するのかの巻」

 七夕賞とプロキオンSは、同じ2枠4番に入った、同じ馬主のメイショウカイドウメイショウバトラーが勝ったのである。

 銀座WINSで七夕賞のパドックを凝視していたら、横にいたドロドロ系オヤジが、

お、京都も4番にメイショウが入ってるよ。これ、暗号じゃないのか

と呟くから、大手門攻めで馬券を買う私としては、そんなことあるわけないじゃないかと、心の中で呟き返してやったのだが、ちょっとは気になっていた。

 先週、私の発信するメールが先方で文字化けして、まったく読めないというトラブルが発生した。

 (Æ我‰美æ‘å人¤ªè”µ大‰æ‘å¤Æªè”好µ・・・・  

 その友人は文字化けしたそれを解読して、ほとんど完璧に内容を読んでしまったのである。

 返事には、

下手なクイズより、暗号解読の方がおもろい、おもろい

などとぬかしてきた。

 そんなこともあり、数日間は「暗号」に囚われていたのである。

 

 建て直す前の東京競馬場の三階で毎週たむろしていた頃、テレビの下のベンチに、やはり毎週座っていたオジサンがいた。

 彼は、乱数表のような記号だらけのノートを見ては馬券を買っていたから、いったい何者なのだろうと思っていたら、何と「陸軍中野学校」の出身というではないか。

 暗号解読のエキスパートだったのである。

 競馬に暗号はあるのだと、当時は初心者だった私は妙に納得してしまった。

 それよりさらに以前、浪人中に通っていた代々木ゼミナールで、国語の有坂誠人先生が、

「答えが分からなかったら、『ウ』に○をつけておきなさい」

なんて教えてくれたし、受験国語なんてのは、文章を味わうことなんかせず、読解法を身につけた者が高得点をとっていた。

 まるで暗号を読み解くゲームをしているようで新鮮な授業だった。

20060711-book0001.jpg

 

 その有坂先生の門下生が、今や代ゼミの人気講師である吉野啓介先生。

 元暴走族だったことで有名になり、最近も、小泉チルドレンの杉村太蔵議員が、吉野先生の著作を盗作したことで新聞を賑わせた。

20060711-book0002.jpg

 

 この師弟はともに競馬好きで、それを知った私は、取材をさせてもらったことがある。

 有坂先生は、

「受験関係の取材を受けるのはうんざりなんだよ。

最高だよね、趣味の競馬で取材を受けるなんて」とおっしゃった。

 先生は、特に長距離戦が好きなのだそうだ。

 「あっという間に終わらないから、ゆっくり競馬を楽しめるじゃないか」

という理由で。

 とても、暗号で馬券を買っているようには見えなかった。

 今回の、七夕賞とプロキオンSは、きっと外れたことだろう。

 

 カーカーカー。

 お前たちは、やっぱり黒色の枠を買っていたのかい?

 

 

  

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