グリーン・ウオッチング Vol・18
一年経てば風景も変わる
キッスアンドライドが、京都の未勝利戦でデビュー勝ちを果たしてから、ほぼ一年。
間に二度の3ヶ月休養を挟んだりと、初陣の1400m鰲を1分26秒9という好タイム勝ちが、なんだか色褪せてしまいそうになりかけたが、5月6日の500万戦で、6番人気をあざ笑うかのような逃げ切り勝ち。能力は、どこかで発露をみるもんです。
なんて、前走は高知の交流戦。1400m・1分31秒5は、古馬500万なら1分25秒台が勝ち負けの目安となる中央場所とは、あまりに時計差があるため、半信半疑の感じもあったか。
ただ、メンバー構成や時計が見えにくい地方の交流レースとはいえ、前走が大敗なのか。それとも、時計は遅くとも、なんらかの結果を出しているかどうか。
専門紙予想家の経験則でいうと、この両者の違いは、大きな隔たりがあるような気がします。
交流戦といえども、キッカケはキッカケ。
例えば森厩舎は、中央→交流というパターンを何度も繰り返すうちに、いつのOPどころか、重賞馬となって戻ってきたりする(笑)。
気の小さい神経質な馬を、地方競馬という慣れない環境に突き放すことで、逆に精神面が鍛えられることもある。
厩舎も一口オーナーもそうだが、人間の、何かを変えなくてはいけないという積極性が、馬を変えるもんだし、結局馬は、人の情熱で走る(走らせる)もんだと思うよ。
なんて、キッスアンドライドの前回は、折からの雨で重馬場。パワー型のフジキセキ産駒にとっては、願ったり叶ったりの芝コンディションでしたが、ひょっとしたら良馬場でも、次走で好走したりするのが競馬。交流帰りは、案外このパターンがハマるんだよなぁ…。
矢車賞を2着したファーストレイターは、デビュー戦の芝2000mで、5着に敗れたとはいえ、上がりは34秒4をマーク。
経験馬相手とすれば、即次走で勝ち負けも当然。続く京都の1800mでも、上がり34秒4という確からしい末脚を駆使。デビュー時に482㌔だった馬体重が、466㌔まで減ったのだけが、唯一の気がかりだが、芝の中距離戦で完全にメドが立った。
秋までに、ゆっくりと3勝。秋華賞の入り口であるローズSが、確実に見えてくるハズだ。
今週の日曜日の新潟のゆきつばき賞には、トゥインクルタイムが出走予定。
デビュー前に、美浦坂路で3F・36秒台をマークしていた馬だが、輸送競馬ではどこか集中力に欠け、一度横山典クンが返し馬で逆方向に引っかけられたのを見たこともある(笑)。
しかし、調教は能力の目安。現地競馬か滞在競馬なら、落ち着きも出るだろし、現に初勝利は中京。しかも、1000m鰲・59秒7は、当日の古馬500万を上回っていた。
ちなみに、父はフジキセキ。元々芝もこなせる上に、平坦の新潟。しかも前日入厩。極端に馬体を緩めさえしなければ、勝負になると思うのだが…。