2020〜21年の指名馬を振り返る「丹下のザンゲ」(11〜20位編)
P太郎 昨年丹下師匠が推奨した30頭の成績を振り返る、毎年恒例「丹下のザンゲ」。今回は11位から20位を見ていきます。
(「1〜10位編」はこちら!)
丹下 よろしくお願いします。
P太郎 まず11位はディープ産駒の良血馬、サトノスカイターフ。ここまで4戦1勝です。
丹下 この馬は今年の2歳のシーヴ仔の予行演習。セレクトセールに出なかったこともあり、ノーザンファームさんも馬主さんもワタクシたちも「お試し」的な馬だった。昨年は「ちょっと体質が弱いけど、この血統は走る可能性がありますよ」っていう記事やコメントも多かったと思います。なるほど腰が薄いと思ったけど、それでも1勝はしてくれました。
P太郎 話題になった2歳の弟もいます。
丹下 ぜひ、よく見比べてほしいですね。違う点があれば、弟はさらに上に行ける可能性もあります。
P太郎 おっと。この続きは今年の2歳馬情報でご確認ください(笑)。12位はイプスウィッチ、ここまで3着2回です。
丹下 ドゥラメンテ産駒は、皐月賞2着のタイトルホルダーなどもいますが、初年度の成績としては可もなく不可もなくというところかな。デビュー前はモーリスとドゥラメンテは同じような評価だったけど、個人的にはドゥラメンテ派(笑)。日本競馬、社台グループ、ノーザンファームの正統性を持ち、ポストディープの資格もある。そういう意味でドゥラメンテ産駒の新しい血統をアタックしなければと思い、この馬を指名しましたが、本当にいい馬。2戦目は不良馬場じゃなければ楽勝していたかも。できれば期間中にもう1回走って、未勝利を突破してほしい。あと何勝できるか。「正」の字を書いてアレコレ予想しているんだけど、当然イプスウィッチも勝ち上がり候補の一頭です。
P太郎 一気に次走が楽しみになりました(笑)。13位もドゥラメンテ産駒のダノンシュネラ。ここまで1勝です。
丹下 新馬戦を勝った時は「桜花賞もらった!」と思いましたよ、いやホント。BSイレブンの中継に出ていた日で「桜花賞は堅い!」って、あやうく言いそうになっちゃった(笑)。
ラヴズオンリーミー一族の中ではやや傍流で、エアグルーヴ一族などでも、主流の方が打率は高かったりするので、打率が下がるのはわかっていたんだけど……。セレクトで見て好きになってしまい、つい指名しちゃったんだよなぁ(笑)。
P太郎 14位もドゥラメンテ産駒、ダノンジェネラルです。
丹下 「ここら辺でドゥラメンテを3頭並べておけば1頭は走るだろう」という丹下のテキトーな下心が見えてしまいそうな並びだね。でも、ドゥラメンテ産駒はいずれは成功します! ダートでも短距離でも勝っているし、非社台グループでも勝っている。その辺の秘密は、今年の推奨馬30頭のところで述べたいと思います。出し惜しみしすぎですかね(笑)。
P太郎 しっかり告知が入りました(笑)。これはますますチェックしないといけませんね。
続いて15位はヴィルシーナの仔、ディヴィーナです。
丹下 小さいのはわかっていて、それでも走る可能性はあると思ったんですが、デビュー前に2回ぐらいアクシデントがあった。ワタクシも残念でしたが、さぞや佐々木オーナーはがっかりしたと思います。ただ、デビューが見えてきたのは嬉しいですね。POGとしてだけでなく、佐々木オーナーも応援していますので、是非いいお話を聞きたいですね。
P太郎 佐々木オーナーの喜ぶ顔が見たいですね。
続きまして16位はシーザリオの仔、ルペルカーリアです。
丹下 POGファンの方は、丹下日出夫、そして鈴木淑子さんなど、「シーザリオ好き」というのをご存じの人も多いし、16位という順番は、正直驚いたかもしれません。
例年キャロットのツアーで実馬を見ていて、サートゥルナーリアは迷わず1位にした。ルペルカーリアもカタログで見た時は「サートゥルナーリアよりも上かもしれない」と思ったが、実際に馬を見ると「あれっ?」となった。シーザリオの仔はみんな走るんだけど、それぞれタイプが違う。この仔ももっとマイラー型を想像していたんだけど、実馬は違っていて、写真だけの第一印象のままだったら1位か2位にしていたかもしれない。デビュー戦は体がゆるくて2戦目は少しマシになってたけど、それでも勝てた。3戦目の毎日杯はレコード決着でも見せ場を作ったし、将来的には活躍する馬だと思います。
シーザリオは本当に尊敬しなければいけないですね。オーソリティのように牝系からも活躍馬が出てきているし、これからも大事にしていくべき血統だと思います。
P太郎 丹下師匠のシーザリオへの熱い想いが伝わってきます。続いて17位はシンハライトの仔、セブンサミットでした。
丹下 ここら辺りでもう一度モーリス産駒を3頭並べとくと、当たるんじゃないかと思ってましたが(笑)、シンハリーズもこれからさらに枝葉を広げる一族だと思います。この馬はまだ未勝利ですが、2歳世代以降も走る馬は出てくると思います。
P太郎 18位はマリアライトの仔、オーソクレースです。
丹下 エピファネイアというよりも母のマリアライトのような、カッコいい馬。皐月賞とダービーを回避したのは非常に残念でした。マリアライトは線が細かったけど、その初仔がデビュー戦を勝ち、久保田調教師も「まだ若い、これからの馬」としきりに言っていたのに、ホープフルSで2着に来た。改めてこのマリアライト、クリソプレーズの一族の力ってすごいと実感しました。
エピファネイア産駒はデアリングタクトが走って、今年もエフフォーリアが皐月賞を勝った。ノーザンファームの吉田勝己さんも某POG本のインタビューで、ディープの仔がいるうちに、エピファネイアの仔が皐月賞を勝って種牡馬としての力を示してくれた、というようなことをおっしゃっていました。本当に爆発するのは2年ぐらい後かもしれないですが、今年の2歳馬も自信がある馬が3頭ぐらいいます。
P太郎 今からワクワクしますね。続いて19位はキセキの全妹、ビッグリボンです。
丹下 鈴木淑子さんが「キセキの妹、リストに入れないんですか?」と言ったので30頭に入れました(笑)。でも桜花賞というタイプではなかったのでこの順位に。「兄とは違う」と言われていましたが、脚の使い方や11秒台を積み重ねる持久力タイプのところなどは似ていると思いますね。兄がひと夏越してから成長したように、妹もこれからだと思います。
P太郎 20位はファンディーナの弟、レアリサンドでした。
丹下 1つ上の半兄は大型馬で仕上げに時間がかかるタイプでしたが、この馬は昨年6月に入厩するという情報もあって注目していたんですが……。ファンディーナから毎年壁にぶつかりながらもドリームオブジェニーの一族を指名し続けている方は、いつかは逆転ホームラン――この一族は阪神タイガースの佐藤くらいの魅力がある。
P太郎 では11位から20位を振り返って一言。
丹下 この10頭を選んだのは、チャレンジ精神があったと思うんですが、そのチャレンジが実りませんでした(苦笑)。次はこの辺りの順位も手堅くいきたいと思います!
(「21〜30位編」につづく)