「デットーリ・マニアの仕業か、の巻」
競馬評論家の合田直弘さんのコラム「海外ターフ事情」にこんな記事が載った。
「(8月)25日、日本でもおなじみの天才騎手フランキー・デットーリの自宅に空き巣が入るという事件があった」(8月31日『スポニチ』)
盗まれた物は、
「00年にデットーリが授章したMBE第5等と呼ばれる大英帝国勲章(外国人に対する名誉勲章)」や、
「祖国で授与したイタリア共和国功労勲章」などのほか、
「……優勝賞品の中から、換金した際に値の張るものだけを選んで盗んでおり、ドバイWC優勝の副賞である金製のムチ3本や、ジャパンCを勝った時に贈られた金杯なども盗まれていた。
(中略)盗品は故買ルートに乗れば一目で見分けがつくものばかりで、(所轄のケンブリッジ署は)そちらの線での捜査も進められている」(同)
ジャパンCの賞品は、96年シングスピールの時か、02年ファルブラヴの時か、05年アルカセットの時か。
いずれにせよ、盗人がメイド・イン・ジャパンの金杯を、「値の張るもの」と認定してくれたことは、日本人として誇らしいことである。
果たして、故買ルートに乗るだろうか。
勲章の類ならともかく、競馬の賞品は、はなはだ心もとないという気がする。
競馬文化国であれば、ルートに乗ったとたん、バレてしまう。
かといって、競馬未開国で店頭に並べても、価値を見出してもらえるのかどうか。
売れるなら、わたしが所有している
「昭和51年新宿区剣道大会・中学の部」
の優勝カップでも買ってもらえるということか。
プロの盗人なら、それくらい分かっている。
どうも、デットーリ・マニアの仕業が臭う。
いま、日本のみならず、「食玩マニア」が増殖しているそうだ。
食玩とは、お菓子や飲料についてくるオマケ。
それをこつこつと集めるファンもいれば、「大人買い」といって、大量買いをするファンもいる。
その収集心理に似ていると思うからだ。
食玩を売る側の戦略がある。
まず、「フレーミング」。
シリーズの枠を設定して、それら全てを集める(買わせる)ように仕向けるわけだ。
消費者は、そのシリーズ全てが揃うまで買い続ける。
つまり、盗人は
「デットーリ騎手が海外GIに参戦したときの物」
というシリーズを自ら設定した。
大陸内であれば観戦しに行ってパンフレットなどを集められるが、日本やドバイでは遠くて入手できないから盗みに入らざるをえないのである。
もうひとつは、「ブラインド」。
コレクション価値を高めるために、入手率の低い物をしのばせておく。
言わば、「レア」と呼ばれる物。
また、シリーズのリストに載せず、ひとつだけ伏せておく「シークレット」がある。
それを手に入れるために、マニアはばんばん買い漁るのである。
「ジャパンCの金杯」は、超レア物だ。
デットーリ・マニアなら喉から手が出るほどに欲しかったであろう。
そういうわけで、ケンブリッジ署長に伝えておく。
古物商を一軒一軒、訪ね歩くのは徒労に終わる。
故買ルートを探すなら、インターネット・オークションを探すべきだ。
マニアに売るために盗んだのかも知れないのだから。
現に今、オークションで「ジャパンCの金杯」で検索してみたら、
……おいおい、ホントに出品されてるよ!
カーカーカー。
丹下のレア物が欲しい人は、わたしにお申し出ください。
パンツでも、ネクタイでも、飲みかけの焼酎でも、何でも手に入れてきますよ。
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