「丹下の予想、舞ってます」
皐月賞ではメイショウサムソンを◎にして、またもや2着ドリームパスポートを消してしまった。
詰めが甘いなあ、と反省しているところに、悪友より℡あり。
浅草で飲む。
彼、競馬関係の仕事をしており、開催当日は競馬場でターフビジョンを扱う部署にいる。
「皐月賞は、けっこう見応えのあるメンバーだったのに、馬券の売り上げが2・6%も下がってしまったんだよね」
実際問題、馬券の売り上げによって彼らは食っているのだから、売り上げ減は即とは言わぬまでも、いずれは生活に響いてくる。
それで、危機感を持っているわけだ。
「だったら、ターフビジョンで予想でもやってみたら?」
と、この一言がきっかけになり、大いに二人で燃え上がった。
曰く、
「的中したら、ターフビジョンで『丹下、◎‐▲で的中!』と映す」
「当たったら、次のレースを予想してもらう。外れたら、画面で謝る」
「上のほうの記者席から、『丹下、次が自信のひと鞍』などという垂れ幕をさげる。そして、まるで天皇陛下が来場しているときのように、記者席から手を振る」
「『ただ今、丹下の予想を配布中』と映して、地方競馬の予想屋さんのように予想ハンコを押した紙を撒く」
競走馬や騎手をフューチャーするのはもちろんだが、これからは予想家にもどんどん出てきてもらって、予想する楽しみを伝えていかなければ、本当に干上がっちゃうよ。
うまくいけば、野次や怒号や賞賛の声も交じり合って、競馬場全体がうごめくことになるかもしれない。
祭りのとき、すなわち、重賞レースのときくらいは、そうやって大騒ぎしてもいいのではないか。
最終レースが終わった後、的中した予想家は、亀田大毅のように歌ってもらってもかまわない。
丹下某だったら、何を歌うのだろうか。
「井上陽水の『青空、ひとりきり』をお願いします」
なんて、言いかねない。
ちょっと、ちょっと、せっかく的中したんだから、もっと明るい歌を歌ってくれないかな。
……カーカーカー。
「七つの子」なんて、もっと暗いから駄目だよ。
ターフビジョンの活用法で何かいい案があったら、教えてください。
彼に伝えておくよ。