グリーン・ウオッチング Vol・17
夏が来れば思い出す
ダイワスカーレットとウオッカは、本当はどっちが強いのだろう。
桜花賞は、スカーレットに軍配が上がったが、体調や騎手の駆け引き。そしてスローペースかハイペースか。展開によって、結果が異なる可能性も高い。
なんて、その昔。メジロマックィーンとトウカイテイオーが、春の天皇賞で激突するという前夜。会社に入って数年の、いわゆる「オグリ世代」のヤングたちが、
「地の果てまでもテイオー」
「マックこそが真のステイヤー」
口角泡を飛ばし、夜が更けるまで酒を飲みながら語らっていたのを思い出したが、桜花賞の、スカーレットとウオッカの戦いの続きを、ワタシも含め、オークスで再びと思っていた人たちも多くいたかもしれない。
そのウオッカが、オークスではなくダービー参戦を表明した。
新聞の記事によると、オーナーサイドから角居調教師に、
「アナタの思うところを選択してください」という、やりとりがあったという。
さて、角居師の、ダービー参戦の思いとは、いったいなんだろう。
興味本位のゴシップ記事とか、そういうことではなくて、彼の調教師の競馬観みたいなものが、ウオッカのダービー出走には横たわっているような気がする。
その思いがどれほど深いものなのか。うーん…。
なんて、日曜日のスイートピーSに、最後の2議席の出走権をかけて、クィーンスプマンテが、ひとまず抽選をクリアした。
重賞で実績のあるハロースピードやレインダンス。未知の魅力に溢れたホワイトメロディーやトウカイオスカーといった2勝馬もいれば、1勝クラスも将来性なら負けていない馬もいる。
実際のところ、クィーンスプマンテにしても、例えば阪神の新馬戦の芝1800m。
●(前半1000m) (ラスト3F)
1・04・0 11・6−11・2−11・6
スローの上がり勝負とはいえ、タフな阪神コースで、レースラップにわずか0秒2遅れの、34秒6をマークして3着。
能力の片鱗を、上がりタイムで数字で示してみせたが、続く福島の未勝利・2000m戦は、
●(前半1000m) (ラスト3F)
59・5 12・3−12・1−12・6
平坦の福島とはいえ、中距離2000mで前半59秒5のHペースは相当応える。差し・追い込み馬の格好の餌食になってもしかたがないが、上がり2Fを12秒1でまとめ、後続を3馬身半と振り切った。
ちなみに、クィーンスプマンテの上がりは36秒9。二着馬以下の、上がりの最高は37秒4だった。
要は一番強い馬が、理想的な形で勝利をもぎ取ったことを、数字として証明したのだ。
しかも、同週に行われた古馬500万の2000m戦の勝ち時計は2分2秒5。対するスプマンテは2分1秒7。古馬500万と対戦しても、今すぐ勝ち負けになることを、走破タイムは示している。
ただ、さすがにオークストライアル。強力な同型もいれば(案外差しに回っても融通が利きそうだが)、東京にはタフな坂もある。スンナリ事が運ぶとは限らないが、福島コースに戻れば、さて。 夏がくれば。福島に転戦するようなら。すぐにでも次の1勝が見えるハズです。