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悠々と漕ぎ出せ

専門紙やスポーツ紙の印を見ると、ゴールドシップに、まったく◎がついていない新聞もある。

京都大賞典の、まさかの敗退。言われているように、上がり3Fに比重の高い、10秒台の瞬発力勝負に弱点も抱えている。

しかし、ゴールドシップは、そんな窮屈な馬なのだろうか。

なんて、最近「空海」関連の本を読んでいるが、その時代の遣唐使の頃の日本人は、漕ぎ出す先の海は、時化や難破――そう、恐怖のみが待っていると、ゼツボー的な気持になった(室町時代以降は違うけれど)。

しかし、同時期のアラビア商人たちは、インド洋を突っ切り、中国や朝鮮にも出帆。

アラビア船の水夫は、見知らぬ大海に漕ぎ出すことにワクワクしたという。

元来船乗りというのは、船と併走するトビウオやイルカに笑う、楽天的なものがなくてはやっていられない。

競馬とは(馬券とは)、明日へ漕ぎ出す勇気。

馬が船なら、騎手や馬券を買うワタシたちは水夫。

世界の海も競馬の世界も、今やデータや記録という精巧な羅針盤が行く末を指し示してくれもするが、今年はゴールドシップ。

たとえあやふやなステイの仔であっても、その船に乗り、JCを漕ぎ渡ってみたい。

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