“ダービーの泉”
世界がわかわかしい緑になって
青い雨がまた降って来ます
この雨の音が むらがり起こる生物のいのちのあらはれとなって
いつも私を堪らなくおびやかすのです
中学校一年の学級指定図書に、「君たちはどう生きるか」という本がありました。
主人公のあだ名は、「コペルくん」。
そう、丹下の懺悔のサブタイトルにもある、地動説を唱えた「コペルニクス」に感銘して、コペルくんと呼ばれるようになった(たぶん)。
その本の中に、冒頭に挙げた、高村光太郎の「人類の泉」という詩が出てきますが、中学一年というと、ミョーに色気づく頃で、知ったかぶりして、高村光太郎の詩を暗唱したり、ドボルジャークの「新世界」にかぶれた恥ずかしい昔(笑)もあったなぁ…。
なんて、雨に濡れ、新緑がまぶしい東京競馬場。
馬場コンディションが非常にデリケートですが、いざダービー。
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【ダービー】
皐月賞は、例年1コーナーにさしかかるところで馬群が固まり、そこで挟まれたり窮屈になったり、不利を被る馬も何頭かいるが、本年は「良」という発表以上に渋い馬場。
それゆえに、芝のいいところを狙って、各馬ポジションがマチマチ。
何のアクシデントもなくスンナリとコーナーを回り切ったが、おや。特にメイショウサムソン。計ったかのように前がポッカリ。
3コーナー過ぎの三分三厘。フサイチリシャールが一気に11秒台にラップを上げたこともあって、直線入り口で再びガラリと前が開いた。
二度ほど幸運の女神が微笑んだようにも見えたし、メイショウサムソンの上がり(35秒1)を超える馬も、他に何頭かいる。
皐月賞を勝った馬が、スンナリとダービーでも勝ち負けを演じるパターンは、上がりが最速なら文句なし。少なくとも2〜3番目の速い上がりが欲しい。
その意味で、続くダービーで絶対視は禁物。
わかりやすく言えば、皐月で最速の34秒6のサクラメガワンダーで勝負になる——。
なんてことを思っていたのだが、しかし、ただ一頭。古馬然とした、鋼のような肉体に、唸りを上げて突進する返し馬。
改めてビデオを見直すと、僅差に詰め寄られいるように見えても、2着馬との差は永遠に詰まらない半馬身差。
例え数字は速くても、後続のフサイチジャンクやアドマイヤムーン。サクラメガワンダーの逆転も、ビデオを見る限りはピンとこない。
ちなみに1分59秒9という時計の内訳は、前半千㍍が60秒0に対し、後半のソレが59秒9。
バランスのよさは、もちろん。馬場差1秒ほどの芝コンディションを考えれば、過去十年でもトップランクの皐月といっていいかもしれない。
地味に見えても、サムソンは強い。
唯一の不安は、追い切りフィルムを見ると、肩の出がゴツンゴツン。
前走の反動が、少しあるかもしれない。
疲労を示すアクションは、パドックでのイライラした素振りに現れるかもしれないが、そこが最終チェックポイントだろう(返し馬も皐月の時のイメージだといいが)。
なんて、思いっきり地味な顔をしているため、「苦労人」とか呼ばれる石橋守ですが、本人はちっともそうは思っていなかったりして(笑)。
それはともかく、石橋のサポートにと、日曜日は芝にダートに、河内厩舎を筆頭に、関西の厩舎陣が全面的にバックアップ。
かなりの騎乗数をこなせるし、雨の芝。
いろいろとダービー前に試すこともできるだろう(先週のオークスのヤマニンで、ゴーカイに逃げて沈没。あのくらい大胆なレースができたのなら、もう吹っ切れているか)。
最終追い切りに跨る、石橋守の、精魂をこめた丹念な姿が、なんだか切ないよなぁ。
さあ、石橋。鋼の馬を、大胆に細心に追い出せ。
相手本線には、当初思っていたことを大事にする意味で、ウチパクのサクラメガワンダー。
下手にライバルを意識せず、無心で好位の内よりを追走。前が開いたら、ひょいと追い出す、あのメリーナイスの根本乗り(笑)なら、逆転も十分。
ただ、雨がやっかい。
道悪に手こずるようなら、フサイチジャンク以下が代わって台頭。
惑星はジャリスコライト。
「直線入り口で、一瞬夢をみた」
と、皐月賞のあと横山クンが言っていましたが、ワタシも、あの時、馬なりでコーナーを回るジャリスコに、一瞬背筋が凍った。
いざ直線を向いて追い出して、「あれ?」とクビも傾げたが(笑)、あの時、「もしかしたら次は?——を思わせた。
ま、前走は中間体調がひと息。見切り発車だったし、右回りは朝日杯もそうですが、内にモタれたり、どうも苦手(京成杯は相手が弱すぎて勝ったけど)。
体調一変。上がり33秒台を何度もマークした得意の東京。横山クンにも、藤沢師にも、たぎる思いがきっとある。
ワタシは、単勝も買います。
◎メイショウサムソン
○サクラメガワンダー
▲フサイチジャンク
☆ジャリスコライト
△アドマイヤムーン
マルカシェンク
アドマイヤメイン
ああ、ダービーが終わる。
あさってからは、POGだ。「青本」を買っていない方。本屋へ急げ(笑)。