「悪用される「競馬」!?の巻」
1月13日の報道によると、岐阜県・関信用金庫の50代の理事(当時)が、19年間で約8億円もの詐欺をはたらいた。
架空の投資話で集めたお金で、その内の約2億5000万円を競馬に使ったそうだ。
残りの金は、架空の投資話に対する配当金にしたり、家の改修費に当てたり、子供の留学費用にしたり、生活費にしたり、と派手にやったらしい。
よくある話だ。
何でも、1983年に300円で買った馬券が大当たりして、競馬にハマッたと、これもよくあるパターン。
この手の競馬絡みの犯罪は、年中スポーツ紙のベタ記事に載っているので、もう慣れっこになっているのだが、どうもウソっぽい。
結論から言えば、「競馬」を「犯罪ロンダリング」の材料に使っているのではないか。
記事のほとんどは、警察発表を鵜呑みにしたものだろう。
わざわざ記者魂に賭けて追求するほどのネタではないのだから。
本当に、「競馬に使ったのか」が、疑わしいのである。
この理事も、「信金の内部調査で、ゲロした」だけという。
たとえば、彼が「女に費やした」としよう。
岐阜県関市という狭い地域で、「女に2億5000万も使った」となれば、事件どころの騒ぎではない。
一族はもちろん子孫に到るまで、一家の恥を背負っていかなければならない。
「あの家庭は、色好き、女狂い、絶倫、欲情家、不潔……」と、後ろ指を指されてしまう。
会社だって、周辺だって、なぜ気づかなかったのか。
注意力・管理力がないのではないか、と日本中から訝しがられる。
しかし、「競馬」となれば、それは彼一人の責任に帰結され、犯罪の重みも薄れるような印象を持つ。
「お金に目がくらむことくらい誰にでもあるよ」、
「たまたまババを引いちゃっただけ」と。
つまり、後々まで尾を引かないのである。
一過性の犯罪にできる。
となれば、信金の内部調査にしろ、警察での事情聴取にしろ、
「女ってことがバレると、家族や会社のイメージも傷つくから、競馬ってことで、丸く収めてしまおう」
という発想になるのは必然だ。
競馬は、それだけポピュラーになっているのであり、これが競輪・競艇・オートあたりだと、まだ、薄暗い。
ちょっとした後ろめたさもあり、かつ、誰もが受け入れてくれるのが、「競馬」の性格なのだ。
競馬に対抗できるのは、宝くじぐらい。
エロ本を読んでいるにも関わらず、「読書をしてました」という「エロ本ロンダリング」、単なる酒好きにも関わらず、「居酒屋研究をしています」という「飲酒ロンダリング」などは、誰にでも経験があるはずだ。
その発展系が、今回の事件の根っこではないか。
実際に「ヤバくねぇか」と思ったことがある。
もう、30年以上も昔だが、学校の先生が「箱根に麻雀旅行に行った」だけなのに、教育委員会に「東洋文化研究のため」と申告していたことがあった。
今回の事件も、記事のすべてを否定するわけではない。
しかし、これだけ「競馬詐欺」が多いと、犯罪性を薄めているだけと思うのだ。
犯罪の原因を、あまりに競馬に頼り過ぎてはいまいか。
当たらずも遠からずであろう。
ロンダリングは、生きていく上での術であるから、それ自体は(程度にもよるが)不問とする。
問題は、それを鵜呑みにして安心してしまう我われの「素直さ」なのだ。
カーカーカー。
丹下だって、「悪いけど、今日の夜は、栗ちゃんと飲んでいることにしておいて」と電話してくる。
何をロンダリングしようとしているのかは、質問しないけど。
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