【丹下厩舎・調教主任】 by・藤原有貴
先日、新聞を読んでいると、
「サッカー欧州選手権で24日、ドイツに敗れたチェコ代表選手達が、26日に宿舎で、ウイファルシ選手の29歳の誕生日パーティーを開いたところ、これを知ったチェコサッカー協会が敗戦後の祝福は不適当として、約560万円の罰金を命じた。」
という記事が載っていました。
個人的には、試合前や、負けた直後にロッカールームの中にケーキを持ち込んで、バカ騒ぎをしたなんてのだったら、少しは協会の言い分は分かるというもんですが、
試合からは二日もたっていることですし、ちょっと処分が厳しすぎるのではないかなあと思ったり。
では逆に、協会の人たちは、試合に負けたら、敗戦のショックが癒えるまで(具体的に何日間ぐらいか分からないが。)お酒を断ったり、レジャーを控えたり、娘の誕生日や嫁との結婚記念日すらも無視してしまうんでしょうか。
極端な例えですが。
想像するに、試合直後なんかは、負けてしまったわけですから、戦った選手たちが一番悔しかったはずです。
取っ組み合いにはならないまでも、お互いに反省点なんかを、語気を荒げて言い合っていたかも知れません。
でも、それはそれ、これはこれ。
チームメイトの誕生日を祝い合うあたりが非常に結束が固い証拠。
これにめげずに、今度は結果を出して欲しいものです。
しかし、こんなことを言っていたら、ジョッキーなんかは大変です。
ひとつのレースで失敗して、ひどく落ち込んでも、すぐに次のレースがやってきます。
それを思えば、一日を通して、戦い続ける上での気持ちの持って行き方や、切り替えの早さ、ジョッキーの精神力たるや並々ならぬものがあります。
それでも、レース後のイベントなんかでは、ついさっきまで命を賭けて勝ち負けを争っていた相手と気さくに冗談を言い合ったり、仲良くゲームに興じたり。
これを見て憤る関係者や、ファンはほとんどいないはずです。
この辺りに競馬のスポーツとしての良さを垣間見ることが出来ます。
また競馬を観戦するファンにもまた良い部分があります。
時に競馬場に行くと、心無い野次を飛ばしたり、マナー的にどうなんだと思う人はいます。
ですが、一昨年、ディープインパクトがまさかの敗戦を喫した有馬記念での事。
ご存知の通り、有馬記念は世界で一番馬券が売れるレース。
当然、競馬場に詰め掛けていたファンの大多数がディープインパクトからの馬券を身銭を切って買っていたはずです。
しかし、結果はルメール騎手の好騎乗に導かれたハーツクライが勝利。
普通は罵声なんかが飛び交いそうなものですが、しっかりとファンはレースを終えて戻ってきたハーツクライに
『ハーツ!ルメール!おめでとう!』
と惜しみない賞賛の拍手と歓声を送っていました。
僕自身、馬券は外れてしまいましたが、見応えのある良いレースだったなと思っていた分、その様子を見て、つくづく現場に来て良かったとの思いを強くしました。
野球やサッカーに記憶に残る名勝負があるのと同様に、競馬にもまたそれがあって、語り継がれていくわけなんであります。
と書きつつ、最近、馬券はもっぱらPATと競馬場から足が遠ざかっているので、今週は中山へ馳せ参じようかなと思っています。
さあ今週、阪神では天皇賞を占う上で大事な一戦である産経大阪杯が行われます。
さらに、来週の桜花賞の一週前追い切りの動きも一緒に見ていくことにしましょう。
(さらに…)
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03.29.2007